起業する経営者が最初に理解しておくべき倒産という未来

「こんなブラックな会社辞めてやる!」
「俺はこんな会社で終わっていいような人間じゃない!起業してデカイ会社を作る器の人間なんだ!」

素晴らしいです!じゃあ、その次の行動はどうしましょう?
え、学生時代の友達、彼女、職場の同僚を呼んで居酒屋で愚痴大会?
その行動・・・賢明だと思います。冗談抜きでそれで自分と周りがガス抜きで来ているのなら上手な気持ちの折り合いの付け方だと思います。
帝塚も勤め人をしている時はそんな感じでした。でも、それでも折り合いが付けられない時が来るんです。それにはパターンが2つあって、「夢を諦めきれない」というポジティブパターンと「職場がもう耐えられない(限界を超える)・如何ともしがたい家庭の事情」というネガティブパターンがあります。

どちらかのパターンに出くわした時に「起業」という選択肢をとる人が、最初に知っておいた方がいい「倒産」という現実と、どうすればそのリスクを軽減しつつ経営していけるかを書いてみました。
といっても、帝塚自身はまだ個人事業主として1年程度、法人化は来年なので個人の経験のみだと情報として弱いです。ですので、今までの経験とお付き合いのあった社長さんとの対話、各種媒体からの情報を統合してご紹介します。

起業は簡単。だが、倒産も簡単にしてしまう

最初に厳しい事をいうようですが、これが現実です。
会社を起業するのは自発的ですが、倒産の多くは自発的ではなく強制的・受動的(経営状況悪化)で望まずして行われます。

では、実際にどの位の規模で会社が倒産していくか見ていきましょう。

会社は10年以内に90%以上倒産する

センセーショナルな数字ですよね。帝塚も初めてこの事を聞いた時に驚きました。だって、街中のビルはそんなに簡単になくならないから、会社も腐るほどあるし倒産する数なんてごくわずかでしょう。なんて学生時代~社会人数年間は思ってました。実際お取引先さんで倒産した会社って一社たりともなかったですからね。精々、合併吸収して片方の会社の名前が無くなる程度の話でした。

ちなみに話を進める前に、ここで少し法人というものについての定義をはっきりさせておきます。
基本的に法人組織とは、法務局へ「会社設立届け」を提出して、受理されて初めて「会社(法人)組織」となります。

全国にある企業数は412万8215企業。
約4割程度が法人企業と言われているようですので、法人企業数はおおよそ170万社といった所です。
なお、このデータは総務省統計局による2012年2月時点の物です。

起業した会社の存続率

1年:40%
5年:15%
10年:6%
20年:0.3%
30年:0.02%

驚くことに、1年たった時点で40%しか生き残っていません。
5年たてばもう15%しか存続できておらず、10年経つと6%しか生き残る事ができていません。
そして、生まれた子供が成人するまでの年月「20年」という時間でみると0.3%しか生き残れていないという厳しい現実。
さらに衝撃的な数字ですが、2014年の経済白書によると、年平均廃業企業数は260,177社にも上るそうです。

会社経営がこんなに困難なものだという事を皆さんは知っていましたか?

しかも、会社が存続しているから良い、という訳ではありません。
国税庁が2014年に発表した「平成24年度分法人企業の実態(会社標本調査)」という資料によると、調査法人全体数253万社中、約70%にあたる178万社が赤字企業となっています。
つまり、順調に黒字化し収益を得るに至っている会社は全体の3割程度、そして言い換えるならば納税義務を果たせている法人企業は3割弱しかいません。法人税の高い安いの問題以前の話ですね。勿論、税金対策で経費を抑えるためにわざと赤字にしている会社も多くあると思います。が、これは後述しますが非常に危険な行為だったりもします。

会社の存続だけなら出来ない事もない

多くの企業が赤字であるという衝撃的な事実を知った訳ですが、実は会社を存続させるだけならそう難しい事ではないような資料もあります。

起業年数に応じた生存率

1年:97%
5年:82%
10年:70%
20年:52%
30年:47%

となっている。
先ほどの倒産率とは全く違った結果が示されています。
この資料はリクナビが中小企業庁と帝国データバンクの資料をまとめた物です。

(引用:http://next.rikunabi.com/01/closeup_1246/)

(引用:http://next.rikunabi.com/01/closeup_1246/)

この資料であれば起業して1年程度ではほぼ倒産する事無く、10年たっても7割程度は存続しているという事がわかります。どうでしょうか、少し起業というものに希望が見えてきたのではないでしょうか。

ネットのみならず、世の中には様々なデータがあふれています。どれも正確なのか不正確なのかわからない物だらけです。そこで重要なのはデータをある程度集めて検証をする事です。国の資料も作成者の意図と調査対象によって大きくぶれたりする事もあります。分かりやすいのは平均年収という資料ですが、あの数字って中小企業のサラリーマンと大企業のサラリーマン、自営業の人間とでは全然肌感覚が違いますよね。その理由は・・・データの偏重ですよね。

ですので、上記二つのデータも統計としてどこまで正確かは定かではありません。あくまで参考指標として見たほうがいいと思います。

さて、ではこの2つのデータから見える現実はなんでしょうか。
確実に言える事は「いずれにせよ起業しても潰れる会社は潰れるということ。そして、潰れたと思ったらまた数多くの会社が起業チャレンジャーによって生まれているということ。」です。

その事を理解してチャレンジャーになると決めたら、次に知っておくべき現実は倒産の内容です。

続き→「起業する経営者が知っておくべき倒産の理由と対策

おすすめの記事