年収はどの程度あれば自力で親子不自由なく生活出来るのか。

皆さんは毎月いくらぐらいの給料を貰っていますか?
帝塚が勤めていた頃は、額面で月収約25万円程度でした。なお、ボーナス無しで社長の息子にあたる専務の気分次第で寸志が出るかどうかというレベルでした。勤めた年数は7年程。その間昇給があったのは辞職する3カ月前に一度だけでした。
厳密にいえば携帯キャリアショップに配属されていた間に取得した資格手当が貰えたわけですが、これは厳密に言えば会社からの支給ではないので、給与を増やして貰った事にはなりません。

生きていくだけなら大丈夫ですが、家族を持っている場合はどうかと考えるととてもじゃないですが生活できません。
じゃあ、実際どれだけあればひとまず自分の給料だけでやっていけるのか考えてみました。

 

給料は30代中盤~40代中盤にピークを迎えるべき

基本的な設定として、現在日本が抱える問題の少子化対策を視野にいれ、一家族3人子供を産む事を考えた場合で考えてみます。

そうなると、やはりお金の使い道の中心になってくるのが子供に掛かる費用です。
第一子を産む理想の年齢が体の負担やリスクを考慮した場合、20~30歳の間と言われています。よって、ここでは新卒3年目過ぎあたりを基準とし26歳で産むと仮定します。第二子、第三子については2年おきにと考えます。

そうすると、一番上の子供が小学生(6歳)になった段階でお金の必要度が増してきます。その時に親の年齢は32歳です。この段階で第3子が生まれます。

そして、一番上の子が高校生(15歳)になる段階でお金の必要度合いが急上昇します。何故なら中学生までは義務教育ですが、高校生からはそうではないからです。また、一番下の子もこの段階で既に小学生になっています。この時、親の年齢は41歳です。

続けて、一番上の子が大学生(18歳)になると二番目の子も高校生となりかなりの費用がかかるようになります。親の年齢は44歳です。

最後に一番上の子が大学3年(21歳)となり、二番目が大学生1年に、三番目は高校生にとなり、この出費が二年続くという状況が訪れます。この段階で親の年齢は47歳です。

こうやってみるとボリュームゾーンが30代~50手前だというのがわかると思います。よって給料はここをピークゾーンとして設定する必要があると帝塚は考えます。
なおこの場合、結論から言えば子供三人が卒業するまでに必要な費用は1億円以上を見込む必要があります。

では、具体的な数字を時期と合わせて見るとどうなるでしょうか。

 

子供にかかる費用は養育費と教育費の二つ

子供を育てるにあたり、かかる費用は「養育」「教育」の二つがあります。その具体的な数字について「AIUの現代子育て経済考2005」が発表していますので、その内容を元に考えていきます。

「養育費」
一人の子供を22歳まで養育した際にかかる費用ですが、約1640万円と言われています。
(出展:AIU保険「AIUの現代子育て経済考2005」)
内訳は下記の通りです。

●基本的養育費
出産・育児費・・・・・・・・・・約 91万円
22年間の子供の食費・・・・・・・約671万円
22年間の子供の衣料費・・・・・・約141万円
22年間の子供の医療・理美容費・・約193万円
22年間のおこづかい・レジャー費・約469万円
22年間の子供の私的所有物代・・・約 93万円
—————————————————————
合計               1640万円

「教育費」
続いて、教育費(学費)ですが全て国公立で進んだ場合と私立で進んだ場合で大きく差が出ます。
■ すべて国公立
幼稚園・・・・・約 64万円(2年間)
小学校・・・・・約308万円(6年間)
中学校・・・・・約229万円(3年間)
高校・・・・・・約252万円(3年間)
大学・・・・・・約492万円(国立、4年間)
———————————————————
合計       1345万円

■ すべて私立
幼稚園・・・・ 約147万円(2年間)
小学校( 調査なし)公立は約308万円
中学校・・・・・約525万円(3年間)
高校・・・・・・約479万円(3年間)
大学・・・・・・約604万円(私立文系、4年間)
—————————————————————
合計       2063万円(小学校は公立)

 

子供にかかる費用は、一人につき約3000万~4000万

一人の子供を22歳まで育て上げるのには約3000~4000万円かかる事がわかりました。
勿論、この計算は必要最低限の出費のみを想定して算出されています。それ故、実態はより多くの費用がかかるでしょう。

 

子供を育てきるまでにかかる最終金額

話を戻して、今回の仮定における夫婦+子供3人を22歳まで育てた費用に生活費を足して計算した場合ですが、
生活費(食費3万・水道光熱費2万・通信費4万)×26年(312ヶ月)+子供の費用×人数で・・・

9万×312+3000万円×3=1億1808万円

なんと、1億1808万円もの金額がかかります!
一先ず子どもたち全員が成人するまでと仮定し生活費は第三子が卒業する26年と設定しました。

 

何故、30代中盤~40代中盤にピークを持ってくるべきか

理由はひとつで、30代中盤の段階で子供が全て学校へ行きます。働く人間としても有る程度の経験を積んでおり、なおかつ体力もまだまだある一番ポテンシャルを発揮できる年齢です。人生において最も費用がかかり、かつ投資効率の高い年齢層です。

 

子供3人に一番費用のかかる年の出費は約550万円

最も出費のかさむタイミングは子供達が大学3回生、大学1回生、高校2年生となった年から二年間です。
基本養育費は225万円(約75万円×3人)で教育費は330万円(大学生123万円×2人+高校生84万)必要となります。
つまり、年間555万円+生活費が必要となるわけです。

これ、実は結構恐ろしい数字なんですよ。何が恐ろしいって、さっきの生活費をあてはめてみるとどうなるかというと・・・
9万×12か月=108万円

そして、子供にかかる費用と生活費を合算すると・・・
555万円+108万円=663万円

そして、この数字にはある物が含まれていません。
そう、皆さんも毎月苦しめられる家計の中でもかなり重い出費・・・家賃です。

 

子供三人を不自由なく育てられるのは、実家暮らしの年収1000万クラスから

今回の記事の結論としては「家賃がかからない状況で年収1000万以上が30代後半からあれば親子共不自由なく生きていける可能性が高い」です。

帝塚もこの記事を書くにあたって初めて知りました。
日本の人口を増やすには最低でも一世帯から3人子供が生まれないといけません。それが達成されるにはどういう環境が必要なのかなという好奇心から、数字のデータを見て考えてみようとしたのですがちょっと無理ゲーかなと。
なぜかというと先ほどの663万という数字がでてきたからです。

 

手取り650万以上は年収900万からの世界

税金は恐ろしいものである、その一言に尽きます。なお、年収別の手取り額は(年収別手取り額早見表)を参考にしています。
その他にも各種情報があったのですが、900~1000万円がこの手取り額650万ラインでした。

という事で繰り返しになりますが、年収1000万円は無いと子供三人を育てるには厳しいといえるでしょう。勿論、「いや、そんなにないけど育てたし」という方もいらっしゃると思います。それは非常に立派なことだと思います。ですが立場を変えて、子供の声を聞いてみた事はありますか?色々我慢を強いる事の多い生活になったりしていませんでしたか?その結果どういう関係を築く事になったでしょうか。

 

30代中盤~40代中盤にかけて1000万を見越した年収を支払えない会社は失格

かなりエキセントリックな表現ですが、国の方針を考えるとこう言わざるを得ないのではないでしょうか。当然、国自体へも税金が高すぎる、やその税金が有効に使われていないという反論があるのはわかります。帝塚もそう思っている事が多々あります。

しかし、それとこれは切り離して考える必要があるとも思います。帝塚は父親や祖父の影響に加え、各種本を読んでいる事もあり会社は社会の公器であると強く信じて疑いません。それは何を意味するかというとこの記事の内容にそった話で言うと「社員は家族」であり、その社員が幸せな家庭を築く土壌を用意できなければ会社は従業員を雇うべきではないとまで思っています。

帝塚自身は先に掲げた話を実行できる、その余裕が出来るまで社員は雇うつもりはありません。金銭的な契約という意味合いでのアルバイトさんは雇うかもしれませんが、それでも折角、大切な人生の時間を使って勤めてくれるのだから家族の一員だと思って接したいと思っています。今の時代からみればうっとおしいただの暑苦しい奴だと思われるかもしれませんが、そこで肌が合わないのならお互いに離れる事になると思います。その方がお互いにとっても幸せですから、それもまた理念にそった形になると思っています。

昨今、副業がブームだなんだというのは元を正せば会社からの給料が少ないのが根本原因だと思います。十分な給料が支払われていれば本業で真面目にやって疲れているのに、わざわざまた仕事を増やすような副業に手を出そうとする人なんてあんまりいないと思います。趣味の延長でとか将来起業を考えているとかならわかりますが、サラリーマンでそこまで求める人って全体の割合で考えるととても少ないと思います。

主婦だって子育てに専念したいのにパートに出なければならないのは、何割かは自分の遊ぶ費用の為という人でしょうけども、そうではなく家庭の金銭的負担を少しでも軽くしたいという所にあるのではないでしょうか。その状況はなぜ生まれたのでしょうか。何故金銭の負担が重くのしかかっているのでしょうか。

 

会社から見た、年収1000万円を社員へ与えるという事

最後に立場を変えての話をひとつ。
会社が実際に従業員に年収1000万円の給料を払うのは楽ではありません。

月並みですが、その給料を払おうと思えば従業員に年間3000万円以上の利益を上げてもらう必要があります。現在、あなたがその力を発揮しているのであれば、会社にゴリゴリ交渉してもいいと思います。交渉に応じなければ見切りをつけた方が良いですね。あなたの交渉を拒否した会社よりも条件の良い会社が採用してくれるはずです。

逆を言えば、その力がなければそれに見合った給料で生きるしかありません。悲しい事ではありますが、それもまた道理です。

会社は慈善事業団体ではなく、営利目的の団体だという事を忘れてはいけません。ですので、社員はやはり会社の利益に貢献しなければなりませんし、会社は社員が生み出した利益を還元しその努力に報いねばなりません。これが出来ている中小企業が多ければ、おそらく帝塚がこんな風にブログで愚痴るような社会にはなっていなかったと思います。

 

さいごに 自分の人生の目的・目標を立ててお金の事を考えよう

自分の人生設計はとても大切なことです。
それを立てる事で自ずと必要なお金の額が見えてきます。会社員として過ごして達成できるものなのか、無理なのか。また、その目標は現実に照らし合わせてチャレンジしても良いものか。もっとハードルを下げても良い目標なのか。という具合に具体的な形を一度紙に書き出してじっくり見て下さい。そうする事で今後の身の振り方について今よりは確実な行動をとる事が出来るようになります。

先日本屋で購入した「出光佐三 人を動かす100の言葉」を読んで帝塚はこの事を再認識しました。
興味のある方は是非読んでみてください。一度読むだけじゃなくて何度か繰り返して体に染みついて行くタイプの本です。
名言集的な要素が強いので、出光佐三についてより詳しく知りたい方は下記にお勧めしておきますのでチェックしてみてください。

おすすめの記事